プログラミングで『下こぼれ』を防ぐ

子どもたちの世界にどっぷり浸かっていると、いろんなものが見えてきます。その中で気になっているのが「下こぼれ」。ちょっと勉強でつまずいた子は、放っておくとジワリジワリ勉強から離れていきます。

大体は「勉強がわからない」ところから離脱が始まるのですが、お受験や塾で「学びのトレーニング」ができている子と、そうでない子はまずここで差が出ます。そして同じ授業を受けていても吸収力(学習効率)が違ってきます。

当然できない子は「授業がわからない(勉強ができない)⇒友だちと比べられたくない ⇒勉強に背を向ける」といった負のスパイラルにはまっていきます。

子どもの世界はある意味シビアです。そうした流れは「グループという名の階層」を作って、子どもたちの間に壁と格差が生まれていきます。

そうした局面で、大人は我が子に向かって「しっかりやりなさい」「もっと集中して」「どうしてわからないの?」のお決まり3フレーズを口にしたり、「ちゃんとできたら好きなもの買ってあげるから」的に甘くささやいたりします。でもこうした言葉は、やがて子どもの耳を素通りしていくようになります。

日本よりずっと早くからプログラミング教育を始めたアメリカを見ると、スーパーサイエンス的な人材育成を進める傍らで、下こぼれに向かう子どもたち(家庭環境や学力など)のサポート手段としてもプログラミングを活用しています。

プログラミングは、論理的な思考力やアイデアを形に変える実現力の訓練に適しているだけでなく、職業に結びついた実益的な要素も多く持っているからです。

そう考えると、社会福祉的な役割が増えてきた日本の公立学校にとって、プログラミングは「今一番必要な学び」かもしれません。